- 「なんとなく棒グラフを使ってみたけど、もっとしっくりくるグラフがありそう…」
- 「どのグラフを使えば、伝えたいことが一番わかりやすくなるだろう?」
Looker StudioでGA4のデータを可視化しようとしたとき、そんな悩みにぶつかったことはないでしょうか。
グラフには、それぞれ得意な「見せ方」があります。数字の変化を追いたいなら折れ線グラフ、構成比を伝えたいなら円グラフ、複数の項目を比較したいなら棒グラフなど──目的に合った形式を選ばなければ、せっかくのデータを効果的に見せることができません。
この記事では、Looker Studioで使えるグラフの種類ごとの特徴と使い分けの考え方を整理します。グラフの効果的な使い方を知り、あなたのダッシュボードはもっと伝わりやすいものにアップデートしていきましょう。
Looker StudioでGA4レポートを作る全体像については、以下の記事で解説しています。
Looker Studioでよく使うグラフの使い方
Looker Studioには多様なグラフ形式が用意されていますが、GA4のデータ可視化で特によく使われるグラフには、それぞれ明確な「使いどころ」があります。このセクションでは、グラフの種類ごとに、どんな目的に適しているのかを解説していきます。
期間グラフ(折れ線グラフ)|時系列のデータ
「日別のセッション数」や「月別のコンバージョン数」など、時間の流れに沿ったデータの変化を把握するには、時系列グラフ(折れ線グラフ)が最も効果的です。

Looker Studioでは、折れ線グラフには「折れ線グラフ」と「期間グラフ」の2種類のグラフタイプがあります。どちらも設定次第で同じような形式のデータを見ることができますが、時系列データを扱う場合には「期間グラフ」の方を使うのがおすすめです。



スコアカード|数値の全体像を把握
スコアカードは、「今、どんな状況か?」を一目で伝えるグラフです。アクセス数、アクティブユーザー数、収益などの重要な指標を、他のグラフとは独立して大きく表示するのに適しています。



Looker Studioではグラフの見た目やラベルも柔軟に設定可能です。スコアカードをページの冒頭に配置することで、全体の状況を一目で把握しやすくなります。
表|詳細分析
「詳細なデータを知りたい」というときに欠かせないのが表形式のグラフです。ページ別の表示回数、流入元ごとのイベント数、デバイス別のユーザー数など、複数の項目を並べて比較できます。



表は汎用性が高く、並び替えやフィルタなどを設定することで、目的に応じた細かい数値まで把握することが可能になります。
ピボットテーブル|2軸での分析
2つの軸を組み合わせた集計が必要な場面では、ピボットテーブルが効果を発揮します。たとえば「参照元 × デバイス」や「性別 × 年齢」など、カテゴリごとの傾向を多角的に見たいときに役立ちます。



ただし、情報量が多くなりすぎると読みにくくなるため、軸の選定には工夫が必要です。どの2軸を組み合わせれば「意味のある示唆」が得られるかを意識して設計しましょう。
棒グラフ|項目ごとの比較
項目ごとの比較を明確に見せたいときに適しているのが棒グラフです。特に、指標の数値差を強調したい場面で活躍します。曜日別のアクセス数比較や、チャネルごとのコンバージョン数の差など、直感的に優劣が把握できます。



ラベルや単位の設定にも気を配ることで、誤読のリスクを防ぎながら視認性を高めることができます。
積み上げ棒グラフ/100%積み上げ棒グラフ
複数の要素の「内訳」や「構成比」を同時に見たいときは、積み上げ型の棒グラフが有効です。特に、時間の経過とともに構成比がどう変化しているかを確認する際に力を発揮します。



100%積み上げグラフにすれば、全体に対する割合が常に100%で揃うため、構成の変化を強調できます。ただし、項目が多すぎるとグラフが煩雑になるため、使い方には注意が必要です。
円グラフ|構成比の把握
構成比を一目で伝えるには円グラフが直感的です。「全体の中で、この項目がどれくらいの割合を占めているか」を強調するのに適しています。



ただし、5項目以上になると見づらくなり、構成比の違いも把握しづらくなる傾向があります。たとえばデバイスや男女比など2〜3項目に絞られたデータでの使用が望ましいです。
グラフ作成時に注意すべき2つのポイント
グラフはデータを「見える化」する強力な手段ですが、その見せ方を誤ると、かえって誤解や読みづらさを生んでしまうこともあります。Looker Studioでグラフを作成する際に特に意識しておきたいのが、次の2つのポイントです。
- 1つのグラフには1つの意味だけを持たせる
- 色覚多様性に配慮する
それぞれ見ていきましょう。
1つのグラフには1つの意味だけを持たせる
1つのグラフには、1つの意味(目的)だけを持たせるようにしましょう。
「せっかくだから、たくさんの情報を一つのグラフに詰め込みたい」と思ってしまうことはよくあります。しかし、データが多くなるほどグラフの目的が曖昧になり、読み手が「何を見せられているのか分からない」という状態に陥ります。
たとえば、折れ線グラフに複数の指標を重ねすぎると、それぞれのトレンドが把握しにくくなる場合があります。指標ごとにグラフを分けることで一つ一つの意味がクリアになり、全体の理解が深まります。
複数の指標を1つのグラフにまとめる場合には、「なぜ一緒に見る必要があるのか?」という理由が必要です。2軸のグラフを使うときは、軸ごとのスケールや意味の違いにも注意を払いましょう。
色覚多様性に配慮する
意外に見落とされがちなのが、色の使い方による読みやすさへの影響です。日本人男性のおよそ20人に1人が色覚に特性を持っているとされており、特定の色の組み合わせが判別しづらいというケースも珍しくありません。
色覚に特性のある方にとっては、赤と緑の組み合わせや、青と紫の組み合わせは識別が難しいとされています。色分けだけに依存した表現を避け、凡例やラベル、線の種類によって内容を把握できるようにする配慮も必要です。
また、グラフを一度モノクロに変換して見てみるのも有効です。色がなくても意味が伝わるかどうかを確認することで、より多様なユーザーに配慮したデザインになります。
画面をモノクロにしてみる場合には、以下のChrome拡張機能が便利です。
まとめ
Looker Studioでグラフを使う最大の目的は、「伝えたい情報を、直感的に理解してもらうこと」です。グラフの種類は多岐にわたりますが、重要なのは「何を伝えるか」に応じて使い分けるという視点です。
- 折れ線グラフ→変化を伝える
- スコアカード→全体像を示す
- 表→詳細を比較する
- ピボットテーブル→関係性を見つける
- 棒グラフ→数値差を可視化する
- 積み上げグラフ→構成比を見せる
- 円グラフ→割合を強調する
このように、それぞれのグラフには得意分野があります。「伝えたい情報」に最適な形式を選ぶことで、レポート全体の説得力が格段に高まります。
加えて、「1グラフ1メッセージ」の原則や色覚多様性への配慮といった設計面の注意も不可欠です。どんなに見た目が整っていても、読み手に伝わらなければ意味がありません。
あなたのダッシュボードは、ただの数値の集合ではなく、「伝えるためのデザイン」です。そのことを忘れずに、レポートづくりに臨んでみてください。